世の中に怒ったり失望した時に思い出す言葉

*この記事はイトグチに2023年3月20日に投稿したものです。

嫌なニュースや出来事が多い。そんな日々のなかで、現状に目を背けずにそれでも心を少し落ち着かせてくれる、私にとってのお守り的な考えについて今回は書いてみたい。

怒りと失望、無力な自分

はらわたが煮えくり返り、怒髪天を突くような話が多すぎる。このご時世にパワハラを続ける上司にも、それに向き合わない会社にも、弱い人間に目を向けず差別発言を繰り返す政治家にも、それを追求しきれないマスコミにも、私は日々怒り、失望している。アンガーマネジメントをやってみたところで、おかしいものはおかしい。

変な知恵をつけ社会問題に興味を持ってしまったばっかりに、自分で自分を生きづらくしているような気さえする。もっと自分にとって幸せなことだけを考えて生きたい。社会問題に興味を持つ前の自分は「恵まれた先進国・日本」に住んでいる自分は世界的にも歴史的にもBestな状態で生きられていると思っていた。しかし興味を深掘りしてみると、解決されていない問題はいまだに山積みだと分かる。選挙には必ず行くが自分の投票した候補者はいつも落選する。自分が少し行動したところで、少し何か声を上げたところで世の中は何も変わらないのではないかと、自分の無力を感じたりもする。

「悪い」と「良くなっている」の両方を選んでいい-ファクトフルネス

人間は思い込みをする生き物。より悪い方に思い込み、悪いニュースほど広がりやすい。『ファクトフルネス』はデータや事実に立ち返って世界を正しく見るスキルについて書かれている。

「状況は良くなっている」というのと「万事オーライ、心配ご無用」というのは同じ意味だろうか?もちろん同じわけがない。「悪い」と「良くなっている」の、どちらかひとつを選ぶべきだろうか?もちろんそんなことはない。両方選べばいい。

『ファクトフルネス』P90

「良くなっている」部分に注目をすると「悪い」部分を薄めて現状の問題に目を背けてしまっているように感じることもある。しかし「悪い」と「良くなっている」は両立する。当たり前だし、理解はしていても、私はそれをつい忘れてしまう。悪い事ばかりが目についてしまう時には、「悪い」と「良くなっている」それぞれの側面に目を向けてみようと意識するだけでも、ざわついた気持ちの整理ができるようになる。

負け続けている人を想う-社会学はどこから来てどこへ行くのか

「良くなっている」に目を向けても、それを維持するのも大変だ。放っておけば事態はまたすぐに「悪い」に戻るし、「良くなっている」中にもまた「悪い」が発生してくる。

私にとって、今の社内ハラスメントは終わりが見えない。1年間様々な形で自分にできることはしてきたが、心はいつも折れそうになるし、いつまで抵抗を続けられるのか自信もない。そんな時は『社会学はどこから来てどこへ行くのか』での社会学者、岸政彦と北田暁大の対話を思い出す。

岸が何人かの活動家の名前を挙げて、彼らは簡単に絶望しないと話す。そして「(彼らは)もう、今まで70年負けつづけてけてきたんだから」(P151)と続ける。この言葉は私の心にガツンと響いていて、時々そっと本を開き、負け続けてきた彼らを想う。そして同じページの「絶望している場合じゃなくて『ああ、そう思うんだろうなあ。さて、』ってところから分析をスタートしたほうがいい」という北田の言葉で我に返り、再スタートの準備を始める。

理論の悲観より実践の楽観

「社会のしくみも世間の目もなかなか良くならない中で、活動を続けられるのは何故ですか」と貧困問題に長年取り組んでいる活動家の先生に質問をしたことがある。その時にその先生が教えてくれたのが、バザーリアと「理論の悲観より実践の楽観」という言葉だ。精神科医のバザーリアはイタリアの精神病院廃絶を実現させた人物で、彼が大切にしていたのがグラムシの「理論の悲観より実践の楽観」という考え方だったそうだ。そして教えてくれた先生自身も、この言葉を胸に活動をしているという。

一つひとつ目の前の実践と、そこで得た良かった事柄に集中する。言うのは簡単だがなかなかできるものではない。それでもいつかはできるようになると信じて、私もこの言葉を心に留めている。

怒りながらも少しだけ前へ

怒りにまかせて書き出したこの記事だが、色々な言葉を思い出すうちに少しだけ心も落ち着いてきた。しかし私はすぐに忘れて、また新しいニュースや出来事に怒るのだろう。

「怒り」はネガティブ感情の中でも活動を活発化させる感情で、脳の反応は喜んでいる時と変わらないらしいと、Podcast『超相対性理論』#92で耳にした。そうか、失望するよりは怒っていた方がまだいいのかもしれない。それでも怒りはほどほどにして、脳を本当に喜ばせる機会も意識的に増やさないとなと思っている。大丈夫、良くなっていることもあるのだから。

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